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柴崎友香の『虹色と幸運』

2011.7.21

柴崎友香の新作小説『虹色と幸運』を読んだ。
普通の人たちの普通の日常を丁寧にすくいとり、小説として成立させる柴崎友香。
彼女はチャレンジャーだと思う。
恋愛の盛り上がりも、事件も、描かずに、しかもどこにでもいるような人の話を書く。
その世界を広げようとしている最近の作品。

今回は、学生時代からの女友達3人が、30歳になって再会し、
ときどき会ったりしながら、それぞれの日常を送る。
かおりは、大学の職員として働きながら年下の演劇青年と暮らす。
彼女の両親は堅物で、離れて暮らす家族には、恋人のことを隠している。
珠子は、居酒屋を営む母親と同居しイラストレーターとして家で働くが、
母親との接触はほとんどない。恋人はいない。近くに一人暮らしの祖母がいる。
男運がない家系らしい。現段階で仕事は成功している。
夏美は、高校を出て小学校以来の同級生と結婚し、3人の幼い子供がいる。
義父母は工務店を営み、夫はその跡継ぎで、そのつてで、
取り壊しの前に空いた店舗で雑貨店を開く。

家族という背景を描いた作品は、新挑戦だと思う。
でも、恋愛は描こうとしてなかなかうまく描けていない。
珠子は恋愛が始まりそうで、そのようやく本気、が動きそうなところで物語は終わるし、
かおりは、恋人のことが親にバレて実家への出入り禁止になり、解決しないまま物語は終わる。
同居しているかおりたちには、なんとなく安定した感があり、やっぱり恋愛の盛り上がりはない。
柴崎友香は、いつも、人生は途中なのだと言いたいのかもしれない。

何かがいつも起こっているけれど、ドラマは盛り上がらない、
のに読ませてしまう力量はやっぱりすごい。
このチャレンジャーの作家の今後がやっぱり気になる。

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コメント 1

さやこ

熱い疑問を投げかける柴崎さん

そんな事を書いてるサイトまであるんですね。
http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm

わたしも「虹色と幸運」読んでみようかな。

作者、柴崎さんの才能、
 客観性に優れ物の裏側を読み取るのが得意
を感じてみたいと思いました。

すばらしい本をご紹介頂いて、ありがとうございました。
by さやこ (2011-07-24 21:36) 

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